2021年3月3日水曜日

ニュージーランドの行き過ぎた福祉の話

福祉国家も行き過ぎると、とんでもないことになる。ニュージーランドの行き過ぎた福祉の話をお話ししましょう。

まずはいろいろNZ居住者(留学生や居住権のない者は除く)が享受することができる恩恵について書き出してみましょう。

  • 50歳以下の学生は、誰でもStudent Allowanceと呼ばれる生活手当を学生時代にもらうことができる。返済の必要なし。私も大学、大学院卒業まで四年間もらえました。学生お小遣い。これがあればバイトしなくても一応生活できるだけのお金がもらえる。
  • BASIC INCOME。つまり、統計的な一般家庭の平均所得よりも低い家庭は、自動的に金銭的補助が得られること。これで理論的に低所得者層は存在しなくなります(毎年額は変動します)。でも与えられたお金をどうやりくりするかで、やはり貧富の差は発生します。子供手当も基本的にここに含まれています。追記: NZのBasic Incomeは家族持ちに対して支払われるFamily Tax Creditがそれに該当しますが、家族を持たない者は受給できません。しかしそれに代わる多くの補助が用意されています。
  • ニュージーランドの年金制度は世界に稀なるもの。国民年金のように就労期間中にいくら年金を支払い続けたかなどの条件もなしに、NZ市民または永住権所有者は、20歳以降の10年以上をNZで過ごし、かつその10年のうちの5年を50歳以上の間に過ごしたものは、誰でも年金を受け取ることができるのです。こういう国は世界でNZだけだそうです。ただし、NZから半年以上離れて暮らすと年金支払いは打ち切られます。わたしは、NZに25年ほど住んでいるので、条件のうちの最初の5年は満たしていますが、まだ50歳にもなっていないので、年金受給資格はありません。
  • また出産した有資格者は、一年の産休手当てが夫の収入の高低にもかかわらずもらえます。おかげでNZでは少子化問題など起こりえません。父親は職場にもよりますが、わたしの場合は完全有給育休を6週間いただきました。もちろん、毎日オムツ換えてましたよ。
  • ASDやADHDさえも含めた全ての障害を抱えた人は、社会的にかなり優遇されます。公共交通機関は無料。金銭的援助などもかなりもらえます。身体障碍者には車いすを無償で与えるなど、羨ましいほどの手厚いサポートを受けることができます。
  • 失業保険に打ち切りがない。いろいろ職業訓練を受けさせられたりもしますが、一生の間、失業保険もらってる人もいます。生活保護みたいなものかもしれませんが、ベーシックインカムな考え方があるので、無理に働かなくてもいいと信じる人もいます。日本では生活保護は恥だという考え方が根強いですが、こちらではそのような考え方は存在しません。移民や難民も含めて、有資格者になれば徹底的に福祉に依存します。

という風に、NZ社会に生きている限り、人間としての生存権は脅かされないわけです。まだまだいろいろありますが、これぐらい書けばいいでしょう。何がなんでも貧困で死なせない政策ですね(別の理由なら死んでもいい?)。制度的に立派と言えるでしょうか?

ですが、ショッキングなのは人間の性(さが)。とりあえず社会は喰わせてくれるけども、平等志向の社会でもあるので、この地にいたままで、一代にして巨万の富を稼ぐなどは難しい。とにかく国の規模が小さすぎます。日本の本州位の土地に、400万人しかいない国ですから。羊や牛の数の方が圧倒的に多い。

ですので、一獲千金を求めるには海外に行くしかない。元宗主国イギリスへ行くのが、この国の若者のグランドツアーみたいなものですが、もちろん隣国オーストラリアも選択肢のひとつ。イギリスにはNZパスポートがあればヴィザなしで就労可能。オーストラリアに対しても同様です。行ったっきり帰って来なくても大丈夫。

しかしNZの若者の自殺者率は世界一。下のチャートはティーンの自殺率ですが、NZが人口当たりでは圧倒的。

これにはいろいろな理由が考えられていますが、まず先にあげたように、国内にあまり夢がない。のんびりのどかなホビットのような暮らしに若者が不満を感じないようでは、若者らしさの欠如が心配です。疾風怒濤のティーン時代を駆け抜ける若者は、刺激が欲しい、大きな夢が欲しい。でも見渡せば牧草地に平和でのどかな田園風景、または中途半端に便利で豊か過ぎる都会生活、そういった中では若者は生きづらい。だからスポーツに熱中する。スポーツカースト国家NZ。スポーツできないとモテない。できないならば若いアンニュイを癒してくれるものもない。だから、夢の持てない若者は、死を選ぶのでは。

また、無教養な親たちは、ベーシックインカムとして得たあぶく金を、子供に使わずにギャンブルやドラッグや嗜好品の購入に費やしたりして、子供の貧困が問題ともなっています。そういう家庭の子供は、自死を選ぶ可能性も高くなることでしょう。ちなみにいじめでの自殺はあまり耳にしません。人生への絶望が主な要因らしいですね。

追記:いじめの問題の深刻さもしばしば指摘されますが、生活者の感覚としては、こちらではあまりにも些細な問題さえいじめであると認定されることが興味深い。日本では日常茶飯事な出来事がいじめとして記録されることもまた行き過ぎた人権意識の高さゆえなのではと思わざるを得ません。

全世代の自殺率の国際比較では、NZは目立ちません。日本より低く、アメリカと同程度。NZは極めて健全な社会と言えるでしょうか。


さてここからが本論です。長い前置きでしたが、働かなくても一応は生きて行ける。働きすぎても税金高いので、誰もそれほど働きたくはない。ホリディするためにキウイは生きている。

そんな社会で2020年の夏の終わり、新型コロナ問題が発生(南半球です)。さてどうする???

だれもが完全巣籠り。でも籠ることの出来ないホームレスは?

NZにホームレス? ベーシックインカムの国でなぜ???

なのですが、上記のように働かないで湧いてきたあぶく金。額に汗して得たお金ではないので大切にはしない。家賃さえもなんやらに費やしてしまい、家を失う。家無しにも優しい人たちはたくさんいる。教会の慈善事業者が教会に寝るところや食料を提供 (Night ShelterやWoman's refuge) 。また政府もいろいろ社会復帰のための支援を行う。いたせりつくせり。でもそれでホームレスはどうする?

自分はホームレスだと主張し、首都ウェリントンの人ごみ多い通りで乞食をしている、マーガレットと呼ばれる女性。May 15, 2018. REUTERS/Jonathan Barrett/File Photo


コロナですが、人と人の接触は避けねばならないし、法律によってホームレスは家の中にいないといけないことになる。すると政府は観光客激減で困り果てているホテルやモーテルにホームレスを収容。滞在費も食費も全て政府持ち。

ここからが、この回答の肝。私の知り合いの台湾人のモーテル所有者の話です。モーテルは安く泊まれる小さなホテルみたいなところのことです。

彼のモーテルには10ほどの部屋があり、コロナでの封鎖以来、市民は外出禁止。それで政府が送ってきたホームレスたちが空き部屋を埋めてくれたのですが:

いやー、コロナになって、これからのビジネス、どうなるんだろうと思ってたけど、驚いたね。一時は客足が減ってどうなることかと思ったんだけどさ。我がモーテルは大盛況でねえ。ホームレスさまさまさ。

でもさあ、宿泊費を政府に払ってもらって、ホームレスはその上に生活保護として十分な生活費をもらってるけど、誰も貯金してホームレスから抜け出そうなんて思ってる奴はいやしない。

知ってるかい? 我が宿泊客たちが昼間に何してるのか。

コロナだから仕事探せと言っても探せない、職業訓練にも行けない。暇だ。だから、スーパーで何ダースも、ビールを買い込んできて、昼間っから酒盛りしてるんだよな。

そしてハーブやらドラッグ始めるんだ。さすがに部屋の中でやられると匂いがしみ込むから、外でやってくれって言うとそれ以来、中庭のその辺でいっつもやってるよ。

警察?

たぶん違法だろうけど、だからって捕まえてどこに連れてくんだい。留置所だってこのご時世じゃあ住まわせるのが大変だ。裁判もできないんだから。警察なんか呼ぶだけ野暮ってえもんだよ。まあお客様なんだ。他人に迷惑かけてなきゃいいじゃないか。政府からもらったお金で勝手にラリってるんだから。

もらったお金は、食費やアルコールや薬物に全部使い果たして、うまいぐあいに社会に還元されて循環してるから無駄じゃあないよ。絶対にお金を貯め込まない連中だから。

宿泊客は若いのが20代から、でもいろいろいて60代くらいまでいるなあ。なんでニュージーランド政府はこんなのをここまで手厚く世話するんだろうねえ。まあこっちはいいビジネスでいいんだけどね。労働党はやりすぎかもなあ。

というような話を先日、聞きました。台湾人らしい大袈裟な身振りを交えながら、中国語も時々織り交ぜながら、一応英語でこう話してくださいました。

ああ、と天を仰がずにはいられない…

わたしは学生時代、教会のボランティアに数週間参加し、ホームレスを世話する手伝いなどをしたことがあるのですが、失業者やホームレスの絶対的特徴は、無気力。これにつきます。生きる希望も夢も失っている。だから生きる喜びを教えることから始めないといけない。一緒にいればいるほど、こちらの気が滅入ってしまう。生きがいを教えてあげないといけない。

あなたたちは何のために生きているのですか?

嘘のようでホントの話。さて、超福祉国家ニュージーランドの未来はいかに?


アリたちのコロニーの生活はシビアで、勤勉な働きアリたちも、時には疲れ果て、あるものは活動をやめてしまうものさえいる。すると、どうだろう。いままで無駄飯食いの余計者だった怠け者は、その疲れた働きアリに代わり、勤勉な働きアリとして、働き出すという。

生産者八割、生活保護二割のアリのコロニー。人間の福祉国家と比べて、何が違うのだろうか。ひともまた、アリたちのように、疲れた者がいれば、怠け者は、生まれ変わったかのように、コロニーのために、誰かのために、働き出すのだろうか。

生きようとする働こうとする意志を持つとき、誰でも生まれ変わることができるのだろうか。

行き場のない者たち。社会に居場所を持たぬ者ども。人は誰かに必要とされていると実感できないと生きてはゆけない。誰もホームレスを愛さない。教会は優しい手を差し伸べても、受ける側には感謝しようとする気力もない。いつだって与えてくれるから。本当は、与えることこそが尊いのに。

愛されぬ余計者たちは、ただ酔いどれて、薬の力で桃源郷をさまようばかり。酔いから覚めて見つけるのは、誰からも必要とされていない、薄汚い衣をまとった自分自身の寂しさばかり。


ニュージーランドという島国での、壮大なる超福祉社会の実験劇場。大地を歩む無数のアリの群れの中で右往左往する怠け者たち。無償の衣食住を与えられて薬物依存でラリッてるクズのような非生産的な人間たち。アリとヒト。何が違う?

人が人である意味をずっと考え続けています。

https://jp.quora.com/%E6%B5%B7%E5%A4%96%E3%81%A7%E6%9C%80%E3%82%82%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%81%AB%E6%84%9F%E3%81%98%E3%81%9F%E3%82%A8%E3%83%94%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%83%89%E3%81%AF%E4%BD%95%E3%81%A7/answers/267577245?ch=10&share=655bca8e&srid=uDokt6

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