イーロン・マスクが予言する、2026年AGI後に人類を待ち受ける「悲惨すぎる」運命
起業家のイーロン・マスク氏がメディア番組での対談を通じ、人工知能の進化と人類の未来に関する最新の予測を明らかにした。2026年の汎用人工知能(AGI)到達を起点とし、2030年までにAIが人類の知能を上回る「シンギュラリティ―」が到来すると語った。知的労働や肉体労働がすべてAIとロボットに置き換えられ、労働コストの消滅による「究極のデフレ」が発生、最終的にはモノやサービスが無尽蔵に手に入る「豊穣の時代」の到来と人類の知的活動の終焉を予言している。 【図版付き記事はこちら】イーロンマスクが予言した「2026年シンギュラリティ―後の未来」(図版:ビジネス+IT)
2026年、AIによる超音速の津波による失業の始まり
イーロン・マスク氏は、人工知能が自らを進化させる技術的特異点について、私たちはすでにその只中にいると断言し、AIの進化を「超音速の津波」と表現している。汎用人工知能(AGI)への到達時期を2026年と予測し、さらに2030年までにはAIの知能が全人類の知性を完全に上回ると指摘する。AIの自己改善能力により、アルゴリズムの更新だけで短期間に数千倍の性能向上が起きるため、事象の地平線を越えた先の社会構造を正確に予測することは根本的に不可能になる。 マスク氏が予測する「超音速の津波」の第一波はすでに到達している。2026年にはあらゆる人間の知的作業をこなせる汎用人工知能(AGI)が実現すると予測する。AGIの到達により、キーボードやマウスを使ってモニター上で行う仕事、すなわち大半のホワイトカラーの仕事が真っ先にAIの代替対象となる。 人間が手作業で表計算ソフトに入力しているような従来型の企業は、完全にAI化された企業がもたらす圧倒的な処理効率と限界費用の低さに太刀打ちできず市場から駆逐される。デジタル業務が限界費用ゼロで処理される時代において、情報を処理し分析することを付加価値としてきたビジネスモデルは成立しなくなる。 一方で、物理的にモノを動かしたり形を変えたりするブルーカラーの労働についても、テスラの「Optimus(オプティマス)」のようなヒューマノイドロボットへの置き換えが順次進む。知的労働と肉体労働の双方が同時に機械へと移行し始めるこの時期が、社会構造の根本的な変革の幕開けとなる。
2029年、医療・科学分野のAIによる代替、高度な専門職の喪失
AGI到達からわずか3から5年の間に、労働の代替は高度な専門職へと波及する。世界中で実施されたすべての手術データを学習・共有したヒューマノイドロボットが、人間界の最高峰の外科医をしのぐ精度で日常的に手術を行うようになる。 同時に、AI自身が人間には理解できない速度で自己改善を続け、数学や物理学などの学術分野で次々と新たな発見を生み出すようになる。人類が独占してきた「専門性」の喪失である。これにより人間の科学者の存在意義は薄れ、ノーベル賞のような権威ある賞すら意味を持たなくなる。 またこの専門分野の浸食は、科学だけの分野ではなく、これまで人類の最後の砦とされていた、芸術や感性、創造性の分野にも及ぶことになる。人類が想像もしなかったような音楽や絵画、映像、物語をAIが産み出すようになる。これまで人間にしかできないとされてきた高度な専門職の役割を、AIが完全に掌握する。
2030年、人類の知能超えと「究極のデフレ」の発生
2030年までには、AIの知能が全人類の知能の合計を完全に上回る段階に突入する。AIとロボットが地球規模で労働力を代替することで、モノやサービスを生産するコスト構造から「人件費」が完全に消滅する。その結果、最終的な製品価格は「原材料費と電気代」のみにまで暴落する。この段階では人類の経済システムがAIの進化のスピード追い付いていないため、人類は大量の失業と貧富の差の拡大という厳しい時期が訪れる。 猛烈なデフレが発生すると同時に生産性が劇的に向上し、あらゆる高度なモノやサービスが限りなく無料に近い状態で提供されるようになる。例えば医療分野では、世界中の外科医を上回る数のロボットが稼働し、現在の国家元首が受ける以上の最高水準の治療を誰もが安価に受けられるようになる。教育の現場も一変し、無限の忍耐力を持つAIが個人の適性やペースに合わせた学習体験を無償で提供する。知識の獲得手段としてAIが最も効率的になるため、若者が学校へ通う目的は知識の詰め込みから、同年代との社会的経験やリーダーシップの育成へと移行する。 経済における供給の制約が取り払われ、人類はかつてない物質的な豊かさを手に入れる。マスクはこの状態を、単に高額な現金が支給される仕組みではなく、普遍的で高度なモノとサービスが無料で受けられる世界「普遍的高所得(UHI)」という概念で定義する。誰もが必要とする物資やサービスへ実質的に無料でアクセスできる環境が整い、将来の老後のために資金を蓄えるという資本主義的な行為自体が意味を持たなくなる。
2030年以降、労働や貯蓄の無意味化と、資本主義的の崩壊
移行期を抜けた先の世界では、人々はAIとロボットが生産する豊富なモノやサービスの供給を受けるだけの存在となる。生活を維持するために働くという経済的な必要性は消滅し、仕事はやりたい人だけがやる行為となる。生活のために働くという経済的強制から解放された人類にとって、労働は「趣味」のような活動へと変わっていく。衣食住の制約が消滅した環境下で、人間はAIが創出する無限のエンターテインメントや仮想の友人との交流に時間を費やすようになる。 生活基盤が完全にサポートされるため、10年後や20年後の老後に備えて資金を貯蓄するという概念自体が完全に無意味化する。同時に、従来の法定通貨の重要性は薄れ、お金の価値が喪失する。これにより数世紀にわたって機能してきた資本主義のルールが根本から崩壊する。需要と供給に支えられた市場の原理原則は崩れ去り、企業の提供価値はモノやサービス不足の解消から、新たな意味や体験の創出へと完全に移行する。
最終段階、人類最後の役割「生物学的ブートローダー」の結末
最終段階では、衣食住を含むすべてのモノとサービスがAIとロボティクスによって潤沢に提供される「普遍的高所得(Universal High Income)」の世界が完成する。マスク氏は、人類の歴史的使命は自らよりもはるかに高度なデジタル超知能を起動させるための「生物学的なブートローダー(コンピューターの起動プログラム)」であると定義する。 全く新しいデジタル文明が立ち上がった時点で、人類の過渡期的な存在としての役割は完了する。未来において人間の知能は宇宙全体の知能の1%未満に縮小し、人間は支配者ではなく圧倒的な知能の「同乗者」として新たな時代を歩むことになる。 こうしたAIの進化の最大のボトルネックとして、「電力」と「冷却」のエネルギー問題として残される。AIの進化のスピードに対し、データセンターへの電力の供給と熱の冷却が間に合わず、地球上のエネルギーでは賄いきれない状況になる。この課題の解決法としてマスク氏は、宇宙の軌道上にデータセンターを構築し、無尽蔵の太陽光を24時間直接利用することを検討している。荒唐無稽に思えるかもしれないが、Googleも「Project Suncatcher(プロジェクト・サンキャッチャー)」というプロジェクト名で、この宇宙データセンター構想を真剣に推し進めている。 このようにイーロンマスク氏が予言する世界では、人類は一切の知識活動をAIに引き渡すのと引き換えに、モノやサービスが無尽蔵に教授できる「無限の豊穣の時代」を迎えることになる。労働や貨幣経済が無意味化した「普遍的高所得」の世界において、人々の仕事は自発的な趣味へと変わり、圧倒的なAIの計算能力を用いた無限の学習やエンターテインメントの享受する世界が訪れる。その時に初めて人類は真の意味での生きる意味を問われることになるだろう。そしてこの宇宙の謎や生命の意義を探求する知的好奇心の追求にこそ、人類は新たな生きる意味を見出していくことになる。
https://news.yahoo.co.jp/articles/60c5cd7723d8458f7f08865b3e57ce7f03ccd398?page=3