2025年6月15日日曜日

人口減少の日本が取り入れたい、デンマーク式「財団企業」の賢い経営

人口減少の日本が取り入れたい、デンマーク式「財団企業」の賢い経営

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<非営利の「産業財団」が企業の多数株を保有するデンマーク式経営で、長期的な戦略を優先できるし敵対買収も防げる>

人口減少の日本が取り入れたい、デンマーク式「財団企業」の賢い経営

ビールメーカーのカールスバーグも「財団企業」の1つ CARSTEN SNEJBJERGーBLOOMBERG/GETTY IMAGES

日本では、出生数が年間70万人を割ったと騒いでいる。昔、筆者は3年間の留学から戻って、東京の毎朝ぎゅうぎゅう詰めの通勤電車に閉口。「なんでこんなに人が多いのだろう。皆が暮らしていくために、たくさんの人が同じことをやって、受け取るお金を減らしている。人が減れば電車もすき、給料も上がるだろうに」とひそかに思ったものだ。 


 ところが日本ではなぜか、人口の大きさが国の格、そして経済力を決めると思い込んでいるから、人口減の報道で自信喪失してしまう。世界、特にヨーロッパでは、人口が少なめでも快適で豊かな生活をエンジョイしている国は多いのに。


 例えば「北欧の老舗」デンマーク。ここは人口が約600万。人口では西欧の大国ドイツの約7%、フランスの8%しかないが、GDPでは9%、13%に相当。つまり人口1人当たりのGDPではドイツ、フランスをしのいで世界最上位クラスにいる。


 さぞかしブラックな働き方をしているのだろうと思うとあにはからんや、『デンマーク人はなぜ4時に帰っても成果を出せるのか』という本が日本で売れるほど、生活はゆったりとして、さまざまな幸福度指数でいつも世界トップクラス。ははぁ、要するに高望みをしないから幸せなのかと見くびるなかれ。この国は、政府のデジタル化でもトップクラスで、合理化の極み。会議とか根回しに時間を使わず、生産性が高い。


 デンマークは高福祉、高負担の国だ。所得税は55%に及び、消費税も25%なのだが、大学まで学費は無料だし、転職の際には失業保険が2年も支給されるなど、現役世代への手当てが十分なので文句が出にくい。


 ■利益と公益のバランスを取る経営 日本の人口が1億人に減っても、デンマーク並みに1人当たり7万2000ドルのGDPを稼ぎ出せば、国のGDPは7兆2000億ドル(2024年は4兆ドル)になる。電車通勤は楽になるし、言うことあるまい。 


 そのデンマークには、企業の形態で参考になるものがある。1つはこの国で特に多い「産業財団」方式。これは、普通の企業の組織の上に「財団」を乗せる。この財団は企業の多数株を保有しているが非営利団体で、公益を目的に掲げる。その長は保有企業のCEOが兼ねることもあり、保有企業の長期戦略を定める。


 企業は上場されていて他の投資を受けるが、多数株は財団が保有しているから敵対買収はされない。そしてその配当が、財団の収入となり、その収入をR&D(研究開発)や環境問題などの社会事業に活用したり、慈善目的に寄付すると、その分は税が控除される。


 このやり方は1984年の「商業基盤法」で法制化され、今ではこの方式の企業の株価総額が、全体の半分以上を占めるに至っている。株価総額で世界29位の製薬大手ノボ・ノルディスク 、ビール大手のカールスバーグ、海運大手APモラー・マースクも多数株を外部の財団が保有する。

<所有権を絶対視する英米の事業家>

この方式が優れているのは、株式を上場しながらも、ハゲタカファンドや物言う株主の短視眼的要求を気にせずに企業経営をできること、そして企業活動を営利と公益の間でうまくバランスさせやすいことだ。 英米系の事業家は、所有権を絶対視しがちだ。幹部や株主のエゴが優先され、社員は簡単にクビになったり、企業ごと身売りされたりする。その結果、格差丸出しの米経済のようになるのだから、この点でもデンマークの産業財団は参考になる。 人口縮小は怖くない。ゆとりある暮らしができるチャンスだ。ただ、人口縮小の途上で起こる人手不足や年金不足の問題を予測し、制度・予算を調整してAI活用や外国人招致などを進めることが必要だ。

河東哲夫(外交アナリスト)


https://news.yahoo.co.jp/articles/5056b785414a46b22fb37afa462a393bb9751752

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